こんにちは、福田です。
残暑が長引いたせいか秋を飛ばして急に冬へ突入したような気になっている今時分ですが、皆様はどうでしょうか。
何分、出不精な身なので、私だけがそう思っているのかもしれませんが。
さて、皆さんは太宰治と聞いたらどのようなイメージを思い浮かべるでしょうか。
人間失格や斜陽、それに彼自身の生涯を鑑みれば陰鬱で厭世的な作家だと感じるかもしれません。
実際、概ねその通りだとは思うのですが、作品によっては彼は驚くほどユーモラスな文章を綴っていたりします。
という訳で今回は太宰治のユーモアに富んだ作品を一つ紹介したいと思います。
タイトルは「畜犬談」(リンク先は青空文庫です)
私は、犬については自信がある。
いつの日か、かならず喰いつかれるであろうという自信である。
というおかしな出だしから始まるこの作品は、タイトルと序文が示す通り犬を題材とした小説です。
犬に極度の嫌悪を抱いている男が主人公なのですが、この男の犬に対する述懐と対応がなんとも面白い。
獅子をも倒しかねない猛獣だの、酷刑に処すべきだの、飼い主の気がしれぬだのと悪し様に犬を貶す一方で、ひょんなことから子犬を一匹飼い始め、ともすれば溺愛しているかのように子犬と接する。
犬が嫌いだと大真面目に書きながら、子犬の面倒を見る主人公の姿に思わずクスリと笑ってしまう作品です。
興味があれば、是非読んでみてください。