こんにちは、福田です。
さて突然ですが皆さんには自分の人生を変えた一冊の本に出会ったことはありますか?
とある研究の結果によると読書を行っている人間の脳では書かれている文章の出来事を実際に体験しているかのような動きをするそうで、読書というのは人生に影響を与えやすい行為なのではないかと私は思います。
無論、私にもあの時この本を手に取っていなかったら別の人生を歩んでいたんだろうなあと思う本が幾つかあります。
今回はその内の一冊、上橋菜穂子作『精霊の守り人』の紹介をしたいと思います。
あらすじ
『短槍使いのバルサ』の異名を持つカンバル人の女用心棒バルサは、持ち前の格闘術と短槍の技術を活かして各地を旅しながら用心棒家業をしていた。
旅の途中、新ヨゴ皇国の皇子チャグムが急流な川で溺れているのを助けたバルサは、その腕を新ヨゴ皇国の二ノ妃に見込まれある依頼を頼まれる事となる。
依頼内容は皇子チャグムの護衛。チャグムには建国伝説に語られる水妖の卵が宿っており、それを疎んじた父帝が秘密裏に暗殺をしようと画策していたのだ。
かくして短槍使いのバルサはチャグムを連れて、父帝の放った刺客達を退けながら水妖の本当の姿を紐解いて行くことになる・・・。
この小説、実は私が生まれて初めて自分の意志で読んだ本です。忘れもしない小学校一年生の夏休み前々日、読書感想文のためにと嫌々ながら向かった三階の図書館でタイトルに惹かれて思わず手に取りました。
児童文学でありながら作者である上橋菜穂子さんの文化人類学者としての知見から作られた緻密で重厚な設定、キャラクターの個性に引き込まれ、一日で読破したのを覚えています。
今改めて読み直してみても、権力者の編纂した歴史と史実が異なっていたり、組み上げられた設定に適切な服装、食文化が描かれていたりと子供の頃には気付かなかった興味深い描写や発見があったりします。
多少の思い出補正はあるかもしれませんが、この本と出会うことがなければ今のように好んで読書をすることはなかっただろうとさえ言える私の人生を変えた一冊です。大人から子供まで楽しめる小説なので手に取っていただければ幸いです。